園子温『ヒミズ』
「映画としてはどうか」と評価があまり高くない人もいるけれど,それは違うと思う.
園子温は,たぶん,作品としては,真逆の結末にしたかったんじゃないかな,と思っている.でも,あえて,そうしなかったのは,彼の中の何か,その何かに彼が負けたから.その意味を考えてほしいと思う.
映画であるということを超えて,「がんばれ」って.そう,「がんばれ」って.語りかけてくれている.そのことの意味.
僕は昔「がんばれ」って言葉が好きじゃなかった.だって,すでに人は皆,努力してるから.
僕の友人も「がんばれ」って言葉が好きじゃないって言ってた.だって,その友人は人一倍がんばっていたから.
でも,「がんばれ」.「がんばれ」って語りかけてくれる.
「がんばれ」
「がんばれ」
それは,多分,その境地を味わったことのない人には,出てこない言葉だ.人間は,最期は,理屈じゃない.最期に残るのは,
「がんばれ」
「がんばれっ」
そう,それは,愛.そういって差し支えなければ,だが.